2010年10月29日金曜日

モロッコ珍道中の旅



先日長い夏休みをいただき、私は8キロのバックを背負って1人、9泊11日の旅に出た。

9時間の時差と20時間の飛行で行き着いた世界はまるで玉手箱をヒックリ返したかのような

摩訶不思議アドベンチャーカントリー“モロッコ”

おとぎ話の中から飛び出してきた魔法使いのような人がいたり、全身真っ黒顔もすっぽり、

目だけしか表に出さない女性がいたり、物語の主人公になったような気持ちで旅をしていた。


街を歩いているととりあえず声をかけられる。あっちからもこっちからも

『ジャポネー!』  『コンニチハー!』 『ニーハオ!』 『ソンナノ関係ネー』『ミヤサコーデスッ!』

 1番おもしろかったのは『ハトヤマーーー・・・ドラムスコー!!』 


誰だ!!おかしな日本語教えたの!!


泣いて笑って困り果てて・・・迷って怒鳴って感謝して。

毎日がお祭り騒ぎの旅は始まったばかりであった。


1日目 
着いた瞬間英語が通じなくなった。

フランス語の本を持っていったが、発音が違うのか全く分かってもらえない中なんとか電車に乗って

一息ついたところで急に目の前にいたモロッコ人が豆を蒸かしたような物を3つくれた。


電車の中には電気がなく、地下に入ると真っ暗になる。それが何分も続くのに、モロッコ人達は

その中で話し続けていた。




私はガイドブックをひたすら読み続けていたが、しばらくして顔をあげると

車内にいた全員が私の事を見ていた。


やっぱり話しかけられてたちまち大盛り上がりになった。


しかし、『あなたの宗教は何ですか?』


私『(?????)フ、フリー』


車内が凍りついてしまうのではないかと思う程に静まり返った。

なんと言えばよかったのかは未だに分からない。

目的地の街に着いたのでそそくさ電車を降りると隣に座っていた女の子が近寄ってきて、どこに泊まるのかを聞いてきた。


全く決めていなかった私であったが、その子は安いホテル街まで連れて行ってくれた。

アドレスを交換してそのまま私は部屋に入るなり眠ってしまった。


2日目
朝早く目覚め、次は『ムーレイ・イドリス』という街全体が聖域としてかつては非イスラム教徒は足を踏み入れる事は出来なかった街へ向かう。

タクシーで100円。なんだかとても神秘的な雰囲気が街全体から出ていた。

冒頭の写真もこの街の頂上から撮ったものだ。



ドアがかわいい。ピンクの通りもあれば緑の通り、黄色、白、、、何を意味しているのだろう。

レゴの世界のようにおもちゃのような家が重なり合ってカラフルな街を作り出していた。


いきなり子供が抱きついてきた。何を言っているのかは分からないけど子供は人を笑顔にしてくれる魔法の力を持っている。と思う。


この街にはもちろん幼稚園なんてない。だからお兄ちゃんは弟と遊び、

年上は家族とか兄弟とか関係なく年下をかわいがっている光景をよく目にした。

暖かい姿だ。

折り紙で折った鶴をあげるととても喜んでくれた。

なんだかすごく嬉しかった。

あまり喋らないオジさん『アブダラハクさん』と一緒に片道3、5キロの道のりを歩いて

世界遺産『ヴォルビリス 』に着いた。


かつてこの街で人々は生活をしていた。お風呂場があったり、裁判所があったり、オリーブの搾り機なんかもあった。            
                                                              


『ビンボウ フォトー!』と叫ぶモロッコ人が着いてきて、日本人が好きで色々教えてあげたいとまたこの人も付いてきた。

そろそろカタコトの英語を話すのも疲れて1人でいたい事を告げると寂しそうに立ち去っていった。

私が1人で歩いている事は歌舞伎町を小学生が1人で夜中歩いているように見えるのだろうか。


先ほどのゼニさんは本当にいい人で最後まで私からお金を取ろうとしなかった。


ヴォルビリスを見ている間ゼニさんは1時間待っててくれた、そして往復3時間の道のりを徒歩で案内してくれ、丸1日一緒にいた。

最後にバラのお花をくれて、『旅行、楽しんでね!』と言ってバスの中にいる私に手を振った。

私は疑っていた自分の気持ちと人の優しさが合わさってバスの中で泣いていた。

するとまた子供が隣に来て、私のバックに付いていたうさぎの人形を触りながら笑ってくれた。

この国は本当になんなんだろう。絵本を次々とめくっているように物事がやってくる。

明日はいよいよ旅の1番の目的、青の世界『シャウエン』を目指す。

旅はまだまだ続く。