2010年10月29日金曜日

旅の続き

3日目

青一色の世界があると聞いた。

バスで揺られる事5時間。ここは『シャウエン』右も左もどこもかしこもタクシーもお墓も木すらもブルー。
まるで迷路に迷い込んだのかと思う位に道が入り組んでいてさっききた道すら分からなくなる。

どこの路地を入っても新しい発見がある。

通りすがる人も、鬼ごっこをしている子供達もこの空間と重なり合うと全てが芸術作品のように見えた。

私の持っていたデジカメに興味を持った子供達がキラキラしながら近づいてきた。
『ピーーース!!!!!』

ピースは世界共通な事を初めて知った。


自分が撮った光景が画像として自分の目に映る事に興奮して、

私の買ったばかりのデジカメをぐいぐい引っ張り、取り合い、落とし、、とってもはしゃいでいた。

人工的に塗られたこの青の世界はゆったりとした時間が常に流れていた。

仕事をしていないのか昼間男達はカフェでミントティーで何時間も会話を弾ませ、子供達の遊び声は夜中まで続く。

決して裕福な生活はしていないのだろう。

しかし皆、貧しそうではなかった。どこか余裕があり、人と人との会話や繋がりを時間を惜しまず楽しんでいるように思えた。

山の中にあるこの街に着いてから、私は大切な時間のすごし方をどこかに置き忘れてしまっているような気持ちになった。

街のカラーと住み着く人々が作り出すこのオーラは私にはとても眩しく感じた。

次の日、私はこの街を出て世界一の迷宮都市、『フェズ 』へ向かう。


4日目-5日目


バスが大幅に遅れ、着いたのは夜の10時だった。薄暗く光る安宿の看板の明かりを頼りにガイドブックに載っている800円の宿に早足で向かった。


ところが、、、
『Full・・・!!!』


何件あたってもホテルはいっぱいだった。親切なバックパッカーに案内してもらったホテルもいっぱい。さすが大都市観光地。


甘く見ていた。道端には怪しい顔でこちらを見てくる怪しいものを吸っている人たちがゴロゴロいた。


1人の男がずっと付いてくる。交渉しているホテルの中にまで入ってきた。怖すぎる。


大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせながらその男を振り払い、おばけでも出そうなおんぼろの明らかに怪しい900円の宿に空きがあり、私は意を決してそこに決めた。


さっきの着いてきた男が部屋にまで来るのではないかと思い、共同のお風呂にもトイレにも行けず部屋から夜が明けるまで一歩も外には出られなかった。


部屋の蛇口を捻るとしょっぱい雨水のような水が出てきた。さすがにこれで顔は洗えない。

そうだ。バスターミナルで買った水がある。移動ばかりで何も口にしていなかった私は大切な水で顔を洗った。

朝日が昇り始めた頃、やっとお風呂に入り、そのまますぐにホテルを出た。

少し歩くと、昨日の男がそこにいた。

『Are you happy?

明らかに答えは男のおかげで“NO”だろう。

付いてきては消え付いてきては消え、、、

世界遺産、フェズ・エズ・バリのメディナ(何十件もお店が連なる商店街のような所)で私は誰もが振り返る位大きな声でその男にブチ切れてしまった。


去り際に甘えた顔をして『Sorry...』と言っていたがあまりのおよびでないしつこさにさすがに同情は出来ずイライラしながら世界一の迷路に足を踏み入れた。