2010年11月2日火曜日

旅の続き続き

5日目-6日目
フェズの人の多さに疲れ果て、一気に南下する事を決めた。

バスで15時間『ワルザザート』へ。

通過点のアトラス山脈越えはこの旅の中で1番怖かった。

標高3,000mを超え、モロッコの最高峰ツブカル山4,167mもある。

本来ならバス1台しか通れないであろう山道をおんぼろ大型バスで40~60キロで暴走するのだ。


ガードレールはない。その代わりに手のひらサイズの石がポツポツと置いてある。

ミシュランの地図にも「危険な道」と記載されている程のこの山道は


ジェットコースターよりも身の安全が保障されていない為怖い。

運転手の携帯の着信メロディーはちょうど坂道の所で爆音で鳴り響く。

どうか・・・出ないでクダサイ!!!!!

イスに背中をへばりつけてただただ、無事下山してくれる事だけを祈るばかりだった。




途中休憩したカフェでおじさんにいきなりベランダに連れて行かれて布を巻き付けられて

抱きつかれた。よく分からないけどイスラム化した自分がおもしろかった。





着いてすぐに世界遺産『アイト・ベン・ハッドゥ』に、道を教えてくれた

日本語、英語、アラビア語、ドイツ語、スペイン語、フランス語を巧みに話すモロッコ人と

一緒に行く事になった。

日本語がとてもとてもウマい。

陽気でよく笑うかなり日本式冗談が通じるミラクルな人物だった。安いホテルで働いている。らしい。

名前は分からいので仮にM氏としよう。

M氏『ワタシ、アナタスキ!』

私『あのね、日本でそんな大事な言葉を簡単に言うと嫌われちゃうんだよ』

M氏『デモ、ココハモロッコデス』

私『(・・・確かに・・・)  ダメダメ!日本の男の人はあまり喋らないんだよ』

M氏『ソンナノ・・・ ツマラナイデス。ニホンジンハ、ヘンデス。モシカシテワタシ、

ウルサイデスカ?キモチワルイデスカ?ウザイデスカ?クサイデスカ?』

もう2人で大声で笑ってしまった。

センスのあるジョークと日本語がおもしろすぎるツワモノだ。

ラ、ラクダを発見!!!!

ものすごく異国を感じる生き物、ラクダ。そうだ、私は遠く離れた異国の世界モロッコに来ている。

普通ならアイト・ベン・ハッドゥへの車をチャーターするには結構お金がかかる。

しかし彼もまた破格の金額で車を捕まえてくれて写真も撮ってくれて、ずっと気を使ってくれ、

最後には自分の勤めるホテルよりも安くて綺麗で安全なホテルを紹介してくれて、

アラビア語で通訳してくれた。

おいしすぎるシェイク屋さんにも連れて行ってくれた。

M氏はよく『ニホンジンハヘンデス!』と言っていた。

『エイゴガハナセナイノニミンナキマス。デモニホンジンハホントウニヤサシイデス。

ワタシニ、ジブンノミズノム?トイッテクレマス。

キモチガキレイデス。デモアナタハバカデス。アッ八ッ八ッ八。オコッテイマスカ?』

怒ってなんていない。むしろ、なんか嬉しかった。

外国を旅する事は日本人代表としてその国の人と接するべきなんだと思った。

彼が今まで出会った日本人の話を聞いたが、素敵な人達がこの国に来ているなぁと思った。

私がもし彼に嫌な事をしたらきっと彼は日本人の事が嫌いになるだろうし、イメージも悪くなるだろう。

この何日か旅を続けてきて、出会ったここに登場していない人達も本当に皆な純粋で、

1人1人個性的で、私はモロッコが大好きになっていた。

M氏やモロッコ人が日本人って素敵だなと、思う1人に私がなれたらいいなと思った日であった。

旅は最終章へ向かっていく。

明日ははずす事の出来ないモロッコ1番の活気とパワーに溢れる『マラケシュ』へ

最高のクライマックスはまた次の物語へと続く。